薪ストーブとは
古来より人は自分で火をおこし扱ってきました。
食物を温めたり、火を通すことにより食生活も変化してきました。
さらに、世界の寒い地域では暖房として火を扱い、四季がある日本においても火鉢や囲炉裏、かまどなども古い歴史があります。
欧米では古くから暖炉として火をつけることにより暖房や人をもてなす意味で親しまれておりましたが、1740年代にベンジャミン・フランクリンによって鉄の箱に開閉式のドアを付け、鋼板の煙突をつけた暖炉が発明され、その暖炉はいままでのものに比べて消費する薪が少なくかつ長時間燃焼でき、設置も簡単な「ペンシルバニア暖炉」と呼ばれその後「薪ストーブ(ウッドストーブ)」と呼ばれるようになり瞬く間に世界中に広がりました。
※ベンジャミン・フランクリンはUS100ドル札に肖像画が描かれています。
薪ストーブのデメリット
最初から薪ストーブのデメリットを説明するのは売る気がないと思われるかもしれませんが、薪ストーブは石油ストーブや電気暖房のようなスイッチ一つで運転・停止できるものではありません。当然のように手間をかけてやる必要があり前記のベンジャミン・フランクリンの言葉に「薪で暖をとるものは三回暖められる。一度は薪を切り薪を割る時、もう一度は薪を運ぶ時、そして自分の家を暖房するために薪を燃やす時」との言葉の中に含まれている夏場の温かい時期に汗をかいたもののみに唯一得られる恩恵です。
最近では薪を買うこともできますが、設置するにあたっては、家族の許可や協力が必要ですし、さらに屋外で自然の力により一年以上乾燥させた薪には当然冬眠する虫がつくこともあり、家のなかでその虫が目覚めたりすることや木の皮や木のかすが家の中を運ぶ途中で落ち掃除する必要があるかもしれません。
ただこの内容は最低起こりうることですし、また年一回の煙突掃除や数年に一回の薪ストーブの分解掃除も併せて行うことを覚悟しなければなりません。
ただ薪割りや運ぶことを苦痛と思わずプラス思考で考えれば「お金をかけないダイエットとして」や「薪の原木を探す自然散策」さらに「薪集めによるさまざまな人との交流の場」としてなど反転すればデメリットもメリットにつながります。
薪ストーブのメリット
この便利な世の中での手間のかかるデメリットにとらわれずなぜこんなに世界の人に支持されているのでしょうか。
それは薪ストーブの本当に良いところは便利な世の中においてあえて手間をかけるといった点にあります。
スピードを重んじる効率至上主義にしばりつけられている現在において、つい先だってスローフードといったイタリアで始まった運動がありますが、地元でとれた旬の食材を生かしゆっくり調理しさらに家族や友人でテーブルを囲んでゆっくり食事をしましょうという運動でアメリカのファーストフードが世界に広まっていることへの危機感から生まれました現在ではスローライフやロハスなどという言葉が浸透していますが、まさに薪ストーブはその代名詞となっているといっても過言ではありません。
薪を割るという作業は体を動かす爽快感、その薪を積み上げることによる達成感、さらに待ち遠しい冬の暖房としての温かさは格別です。
薪ストーブに火をつける作業も焚きつけから大きい薪へと火を育てそのわずかな達成感と火を見守り綺麗な炎に魅了されその心の穏やかさや無心になることは何事にも換えがたい貴重なひと時です。
そしてその薪ストーブでガスや電気を使わずゆっくりと料理を作ったりお湯を沸かしお茶やコーヒーを入れたりその恩恵は無限大に広がります。
薪ストーブにかける手間は贅沢な娯楽であり日常が薪探しによるレジャーとなることでしょうが薪ストーブも高価なものでありますがその中に本当の価値を見つけ、手間のかかる道具ではありますが、本当の豊かさへと導いてくれるものだといえます。